2020年ETIAS導入バズに関する調査結果とリサーチの重要性

こんにちは。ヒサノアスカ(@AsukaHisano)です。

 

このブログをご覧になる方はすでにご存じかと思いますが、新年早々Twitterではヨーロッパ版ESTAであるETIASが2020年から導入されるというニュースがバズってます。
ですが実はこの2020年から導入というのは古い情報でして、現時点での最新情報は2021年1月から導入となっています。

こういった大掛かりなシステム導入には変更や延期がつきものなのでうっかりで古い情報を公開してしまう、もしくは最新情報にアップデートしないことで結果として誤った情報を広めてしまうことはあり得ます。

ですがこのバズの元となった方の、誤った情報を拡散したと判明した後の対応に思うところがあったので、今回の件について考えた情報発信者としての在り方についてまとめました。

2020年ETIAS導入バズにまつわる一連の経緯

あえて元ツイートや元記事は引用しませんが、1月2日に「2020年からヨーロッパに行くには有料のETIAS登録が必要になるから注意しよう」という内容のツイートが投稿され、一気にバズりました。

私自身もこのツイートをタイムラインで見かけていたので「2020年導入が事実なら、ヨーロッパに拠点を置く会社は早めに対応しておく必要があるのでは?」と思い付きまして、チェコポータルの方で正式な記事にするべく調査を始めました。

で、GoogleでETIASと検索して出てきた最初のページ(英語)を開いてすぐに目に飛び込んできたのがETIASの導入は2021年1月の情報

え?と思って他のETIAS情報ページ(すべて英語)を片っ端から見てみたのですが、2020年から導入という情報を掲載しているサイトは一つとして見つかりませんでした

この時点で「あ、これあかんやつや」と気づいて、取り急ぎツイートしました。

そしてバズのご本人が万が一にも2021年導入情報をご存じなかったら一大事だと思ってアカウントを見たのですが……なんとですね、「ツイートがバズったのでETIAS導入が2021年になりました!」と受け取れるようなツイート&ブログ記事投稿されていまして、もうポカーンです。

さすがにそれはおかしいと、即座にGoogleで検索クエリをETIAS from when、期間を1年以内として検索したところ、2018年7月のタイムスタンプ記事で既に2021年から開始とする記事を続々発見

この時点で私が考えたのは、このバズ主さんは他の人が書いた記事を見て特に自分自身では調査をせずブログ投稿したんだろうなという事。
そしてその後、誰かから「本当は2021年導入じゃないですか?」と突っ込まれたので「昨日バズったと思ったら、今日延期がきまりました!」なんて言い出したんじゃないだろうかと考えました。
さすがにそれはないわ」とあまりの図々しい発言に呆れ果て、かつ同じ情報発信者として義憤に近いものを持ったことから反論的に連続ツイート。

その流れでこの記事も書き始めたのですが……書いてる最中にちょっと思い出したことがあったことから調べてみたところ、もっと恐ろしい事実が判明しました

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「日本語公式サイト」は非公式サイトだった!?

きっかけは、「バズ主さんのブログ記事に参考サイトへのリンクが張ってたはずだけど。まさかそれすらチェックせずに記事を書いのか?」という疑問がふと浮かんだこと。

再度ツイートから記事開いて末尾にあったURLから開いてみたETIASサイトは、ETIASのそれっぽいロゴとEUの旗、またコピーライトにもETIASの正式名称を使っているという、徹底的に公式サイトっぽく見せている非公式サイトでした

非公式サイトの判断基準は以下のとおり。

  • ETIASはビザとは関係ないのにドメインにvisaが含まれている
  • そもそもEU公式情報ならドメインは.euのはずなのに.com
  • サイトの言語が英語・中国語・日本語のみ(EU公式の場合、必ず独語・仏語・西語・伊語があるはず)
  • 1月4日時点でも公式Twitter上に2020年導入とのツイートが流れている(自動投稿と推察)
  • 英語で検索してもETIAS公式サイトが出てこないのに日本語の公式サイトなんかあるはずがない
  • 公式Twitterアカウントのフォロー相手が全部日本人&一般人
  • GDPRに準拠してない

勝手な想像ですが、多分バズ主さんはETIASについて日本語で調べた時にこのサイトを見つけ、サイトの内容ベースで記事を書いて公開されたんだと思います。

そしてETIAS記事がバズったことでにわかに非公式サイトやTwitterへのアクセスが増え、正しいETIAS導入タイミングを知る人たちから何らかの手段(サイトに連絡先が記載されてなかったので多分TwitterのDM)で「あなたのサイトに掲載されてる情報古すぎますよ」と指摘が入り、慌てて2020年を2021年に変えたのでしょう。
(Web Archiveにて2019年1月3日時点では2020年導入と記載されていたことを確認&スクショ済)

その後、やはり2021年導入の指摘を受けてバズ主さんが非公式サイトを再訪した時には導入年が変更されていたことから、「すごいタイミングで導入延期決まったヤバイwww」ってなったっぽい。

この想像があっているとすれば、私がバズ主さんに抱いた「この人はなんて恥知らずな人なんだ!」という呆れは間違っていたことになります。
同時に「影響力のある人がきちんとリサーチせずに記事を書いて拡散した」という考えはそこそこ間違っていなかった証明でもあります。

だってGoogleでETIAS 申請って検索したら他のサイトも出てくるし、2021年導入って書かれてるサイトもあるんだもん。
そもそも英語でリサーチしてたら2020年導入説なんてほぼほぼ出てこないし。

ひとつのサイトの情報を何も疑わず信じるってのはリサーチではありません
まあ、他のサイトには個人サイト・非公式であるという免責表記があるので、非公式サイトですと明記されてないそれっぽいサイトをうっかり信じてしまったとしても……うーん、やっぱりどうなのかぁ……?

ていうか外国の情報を日本語のみでリサーチししている時点でダメダメじゃね?

情報発信するなら、最低限のリサーチはしてほしい

そもそも私はバズ主さんとは違ってフォロワー数は160を超えたくらい、このブログもPV数7000前後という弱小ブロガーですが、情報発信する身であるという自負を強く持っています。
なのでチェコ情報、特にビザ関連の記事を書く際には、公式サイトの関連項目はくまなくチェックして、ちょっとでも矛盾した記述や腑に落ちない点があれば直接問い合わせてからでないと記事は公開していません。(遅筆の原因No.1)

そこまでやる必要あるか?と自分自身でも時々首を傾げてたりしますが、ビザや申請周りってめっちゃ繊細なので、念には念を入れすぎるくらいでちょうどいい。

だって過去の自分がそうだったように、チェコのビザ・移住情報を求めてこのブログやチェコポータルに訪れる人たちって、あまりにも日本語での情報がなさ過ぎて切羽詰まっているはずなんです。
少しでもストレスや負担、手間暇を減らしてほしくてこのブログやチェコポータルを公開することにしたわけで、だからこそ軽々しく適当な情報を発信してはいけないと自ら肝に銘じています。

もちろん「私がここまでしてるんだから他の人もそうするべきだ」とまでは言いませんが、こういった制度変更に関する情報を、しかも危機感を煽る形で発信するのであればもう少し慎重にリサーチするべきだったとも思うんですよね。

そして「あなたの発信した情報は間違ってるんじゃないか?」という指摘があった場合、自分が一次情報だと信じる情報源以外もチェックして、いつ、なぜ情報の齟齬が発生したのかをきちんと確認しておくべきだったと思います。
でないと今回実際に私がしたみたいに、「何この人。自分の間違いを認めないだけじゃなくどんだけ自分に影響力があると思ってんの?(ドン引き)」というひどい誤解を受ける原因になってしまいます。

事実、諸悪の根源がくだんの非公式サイトだとしても、古い情報をうかつに拡散した挙句、正しく事後リサーチすらしていないということで、私の中でバズ主さんの発信する情報に対する信頼度は底辺です。

私は今回この調査をしたことで、バズ主さんだけが悪いわけじゃないと理解しましたが、ETIASの正しい導入時期を去年から知ってる人があの一連の発言を見たなら、確実にバズ主さんの発言に対する信頼度はガタ落ちでしょう。

存在を知ったばかりで「この人の情報は信頼できない」と判断されてしまうというのは、情報発信者としては一番不名誉で最大の不利益

私の場合はただでさえマイナーで日本語での情報がほとんどないチェコ情報を発信しているので、より責任感を持って記事執筆にあたらねばと、今回の一件から決意を新たにしています。

ところで例のバズ主さんに乗っかったらしく、1月4日以降に「ETIASが2020年導入!」って記事がじんわり増えています。
しかもETIAS公式サイトとして上記の非公式サイトがリンクされているという体たらく。

……バズ狙いのトレンドブログとしては正しい手法なのかもしれないけれど、波乗り記事によって誤情報が拡散されていく様を目の当たりにして、うかつなバズや責任感のない情報発信の恐ろしさにガクブルっています……

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おまけ ETIASについての説明と2019年1月時点の最新情報

ETIASとはEuropean Travel Information and Authorisation Systemの略称で、導入でも書いたようにヨーロッパ版、厳密にはシェンゲン加盟国版ESTAです。

ETIASの導入で影響を受けるのは、以下の条件を満たす人です。

  • ビザなしでシェンゲン加盟国に入国できるパスポートを持っている
  • 旅行もしくはビジネス目的でシェンゲン圏に渡航予定がある
  • 滞在期間は90日以内

もっとわかりやすくまとめると、2021年1月以降に日本人がビザを取得せずシェンゲン圏に旅行や出張に行く場合、必ず出発前にETIASの登録を完了させておく必要があります
また、対象者はあくまでビザなしでの渡航者なので、長期滞在ビザや居住権、永住権などを持っている人は対象外です。

せっかくなので、現時点で判明しているETIAS情報もあわせて掲載しておきますね。

  • ETIASの導入は2021年1月から(2019年1月現在)
  • シェンゲン国にビザなしで旅行、もしくはビジネス目的で渡航する人が対象
  • 登録対象の年齢制限はない
    ⇒赤ちゃんでもビザなしでシェンゲン圏に渡航する場合は要登録
  • 登録費用は7ユーロ
  • ただし18歳未満と70歳以上は無料
  • 有効期限は3年かパスポート有効期限の短い方
  • シェンゲン国でビザや居住権、永住権を持っている人は対象外

より詳しい情報は、以下のサイトをご確認ください。

コメント

  1. ゆみ より:

    こんにちは。

    この記事、すごく興味深かったです。
    人からの伝達、情報を”自分の目と耳”で確認せず鵜呑みにする(疑わない)方が多いなぁというのは日頃から感じていることだったので、言わんとしていること、すごく伝わってきました。

    アスカさんの信頼性の考え方、とても理解できます。
    私もいろんな方のチェコ情報を読んできましたが、『チェコ情報=アスカさん』となったのは、そのブログの書き手さんの考え方に賛同できて、情報の信頼度を信じることができたからなんですよね。
    今までブロガーさんにコンタクトしようと思うことがなかったですけど、ぜひお話ししてみたいと思わされましたよ 🙂

    情報の整合取って文章にしていく作業は大変だと思うのですが、アスカさんのブログによって正しい情報を得られることでとても助けられています。
    感謝です。
    ありがとうございます。