こんにちは。ヒサノアスカ(@AsukaHisano)です。
2018年11月1日にチェコワーキングホリデー申請の詳細が発表されて以来、様々な海外留学・海外旅行・ワーホリ情報サイトで、にわかにチェコワーホリを扱った記事が公開されています。
チェコ情報を公開・発信している身としては当然興味があるので色々見てみたのですが……なんというかあまりにも現実離れしすぎていて、「それ、どこの世界線のチェコですか?」となりまくっています。
実際、あまりにあまりすぎて、何度か脊髄反射でツイートしてたりも。
上記のとおり、実に嘆かわしいことに某歩き方のような超大手メディアですらそんな記事を発表しているのを見て、「あ、これ、記事を信じてチェコ来た人がチェコ嫌いになるやつだ」とガチの危機感を覚えました。
なので、ネットの片隅からですがチェコ歴7年越の経歴を裏付けに、ささやかながらも反論します。
× 英語が通じる
断言します。通じるのは観光地のみです。観光地から一歩離れたらほぼまったく通じません。
観光客が多くやってくるだろう博物館や美術館でも、規模によっては展示品の説明がチェコ語のみというところも少なくありません。
そもそもチェコに到着して真っ先に行かなければならない外国人警察は、チェコ語以外話してはいけないという規則があるのかと疑うレベルでチェコ語しか話しません。
いや、インフォメーションではまだ英語喋ってくれるようですが、実際の申請を取り扱う係員は100%NG。
プラハの中心地にあるスーパーとかでも、店員さんだと英語が話せない確率は高いですし、中心地でも地元民を対象とするサービスやお店の場合は英語NGな可能性が高いです。
しかもこれ、プラハでの話です。プラハ以外の地域だと、観光客を受け入れているお店やサービス以外では英語は敬遠されます。
30代以下なら英語教育が……と主張するチェコ人や、「チェコは小さな国なので英語必須!」と書いてるメディあもありますが、ぶっちゃけ「日本人は英語教育受けてるからみんな英語喋れるよ!」「日本はグローバル化に力入れてるから若い世代はみんな英語使えるよ!」という主張と同程度に信頼するのでちょうどいいです。
○ 英語学習はできます
チェコはスローライフを送りたい英語話者が母国語を武器に、英語教師として職を探しに多く集まってきています。
実際、知り合いにも何人か、本国で定年退職した後にチェコに来て、英語教師として第二の人生を歩んでいる人がいます。
なので他のEU諸国と比べて安価で、本場の英語指導を受けることができるようです。
× 失業率が低いので仕事はすぐに見つかる
まずは前提として、ワーキングホリデーの主目的はあくまでホリデー(休暇)であり、ワーキング(就労)じゃないですよと突っ込ませていただきたい。
就労が認められているのは、半年~1年という長期滞在資金の補填のためなので、ガチ就職したいなら就職ビザ取得が必須です。
ちなみに、国によっては就労可能期間が数か月(3か月だったり半年だったり)と決められているのも同じ理由からです。
その上でのマジレスですが、失業率というのは、チェコ国民とその家族、チェコ市民権取得者、チェコ永住許可取得者の中で労働人口として数えられる人数に対する求職者として登録している人数の割合なので、就労ビザやワーキングホリデービザでチェコに来ている外国人の数は含まれません。
(就労ビザを所持する外国人の場合、失職後60日以内に次の仕事が見つからなければビザが失効するので、求職者登録できたとしても最大2か月限定=誤差の範囲)
ちなみにヒサノも永住許可取得者ですが、チェコ語バリアとか労働局に対するトラウマとか、あと2018年は旅行に出てることが多かったという事情から求職者登録はしていません。
また、あと配偶者ビザでチェコに来たけど仕事が見つからないという場合でも、求職者登録をする人は少ないため、より失業率が低くなってるのかもしれません。
「英語が使えたら英語話者を求める企業に就職の可能性が!」と煽る記事もありますが、
- 仕事で使えるレベルの英語力
- その分野におけるガチの即戦力
を求められるので、実務経験がないと厳しいかと。
あと、最大1年後には就労ビザへの切り替えが必須ですが、外国人に就労ビザを発行する場合、
- 労働局の求人データベースに求人情報を登録する
- 労働局の求人リストに掲載後、一定期間(1か月)以上そのポジションにふさわしい人が現れない
- なので外国人を雇う
と見せる手順が必須なので、そもそもワーホリビザから就労ビザへの切り替え自体が難しそうです。
そういえば土産物屋やカフェ、ファストフードをおすすめしてる記事も見かけましたが、チェコの場合、観光客=英語話者という前提が大間違い。
むしろロシア語圏(特にロシア・ウクライナ)とドイツからの観光客が多いです。
実際、ヒサノ自身もいろいろな場所で「英語は無理だけどロシア語かドイツ語ならできる」と、言われた経験があります。
あと観光地の店だからといって地元民がこないわけじゃないので、結局チェコ語は必要になる。
そんなわけで、安易に「すぐに仕事は見つかるよ☆」なんて言わないでいただきたい。
× 5万円ぐらいで快適に暮らせる
ちょっと前まではチェコの物価・家賃の安さが外国人ノマドを引き付けていましたが、ここ数年で地価が高騰しているため、滞在費も同様に高騰中です。
参考記事では「学生なら月3.5万円~5万円で快適に過ごせる」という趣旨の記述がありましたが、ワーホリは学生じゃないので対象外。
ちなみに学生ならと言いますが、実際には
- 学生寮でルームシェア(Not個室)
- 昼は学食
- 朝と夜はコールドミール(基本キッチンなし)
という条件をクリアできるのなら、月5万円以下の生活が実現可能です。
ちなみにここでのコールドミールはRohlik(約1czk)+ハム・チーズ・野菜的なものを指します。
学生寮でも個室の場合は寮費が1.5~2倍に跳ね上がるし、ちゃんと自炊したいのであればキッチン設備のある寮を選ぶか自分で揃えなければならないので、出費が嵩みます。
ならフラットシェアは?となりますが、プラハだと家賃+光熱費+インターネットで大体5万円(約10,000czk)が基本です。
チェコ語のルームメート募集サイトを活用すればもっと安い部屋もありますが、その場合は大家さんやシェアメートとチェコ語での意思疎通が必須となるので、チェコ語ができない場合は断られる可能性大。
ちなみに実際のプラハ&ピルゼンでの生活費については、実体験ベースで記事を書いているのでご参照ください。
△ 物価が安い
これは比較対象&買うものによります。
まず比較対象ですが、西ヨーロッパの国々に比べれば物価は安いですが、東ヨーロッパやアジアに比べると高い。
また買うものによるというのは、食料や交通機関など、生活を送るのに必要なものは安いですが、電化製品や服飾品はチェコの物価を考えるとむしろ高い。
というか電化製品の場合はほぼ輸入のため種類が少なく関税がかかるので、ちょっとしたものでもかなり高い。
電化製品はぶっちゃけ日本で買うのが一番安くて信頼性もあるのですが、どうしてもヨーロッパで買いたいのであれば、ドイツで買いましょう。
ちなみにセカンドハンドがOKであれば、週末の午前中に開催されるフリーマーケットや街中に点在する古着屋さんを巡ると意外な掘り出し物が、びっくりな安価で見つかることもあります。
× 人々がフレンドリー
ぶっちゃけチェコ人、めっちゃ人見知りです。
もちろん個人差はありますが、基本表面的には優しげでも、中々一歩踏み込むことが難しい。
その反面、誰かと仲良くなれればチェコ人グループにも比較的安易に受け入れてもらえるので、まずは誰か一人、チェコ人の友達を作るのが重要。
あ、ところで某歩き方記事では「(チェコ人に囲まれていれば)チェコ語もおまけで習得できるかもしれません」とか書かれてましたが、チェコ語はおまけで習得できるような言語じゃねえよと全力で否定させていただきます。
△ 日本で事前にチェコ語が学べる
某記事の「渡航前に東京・広尾のチェコセンター東京や日本チェコ友好協会などでチェコ語の受講ができます」という記述を読み、チェコに行きたいって人がみんな関東住みとは限らないですよと真顔で突っ込みました。
日本でチェコ語が学べる場所はとても限られています。
東京以外にも出張教室がありますが、それも地域が限られているので、該当地区や近隣に住んでなければ無理。
私自身も京都まで月に2回通ってましたが、教室がちょっと微妙な立地にあったため電車の乗り換えとかがややこしく、ぶっちゃけ結構しんどかったです。
○ 治安がいい・街がきれい
このあたりは比較的本当の事ですね。
けれど最近は、若いチェコ人のチェコ離れ(ユーロを求めて他国で就職する)が進んでいるため、不足した労働力を安価に得ようと東ヨーロッパから労働力を得ている企業が増えてきているのですが、やっぱりそういう人たちが多く住む地域はちょっと荒んだ雰囲気があります。
あとチェコ人はロマやジプシーと呼ばれる人たちをよくは思っていないので、そういった事情でトラブルが起きることも。
また、街がきれいという点については建物がきれいという方向では正しい。
ただしきちんとメンテされてない建物なんかは半ば廃墟化してたり、共産時代の建物は見た目にもうつくしくなかったりするので、やっぱり地域によっては、という注釈が付きます。
◎ 旅行がしやすい
これは事実。特にバスや電車であれば国内でも国外でも行きやすく、かつ旅費もそんなに高くない。
唯一の難点は移動時間の長さですが、そこは夜行を使ったりして調整可。
ちなみに飛行機だと、意外とメジャーな地域でも直通便が少なかったりするので、妙な遠回りや乗り継ぎ時間に悩まされることが少なくないので、バスや電車の旅費・旅程と比べてマシな場合に選ぶのがいいですね。
◎ 美味しいものが多い
チェコ料理は日本人の口に合うものが多く、またお酒もビールやワインがとてもおいしいです!
けれどやっぱりヨーロッパ料理。毎日食べるには結構重たい。
自炊派なら適度に和食を作ればいいですし、外食派でもベトナム料理やタイ料理が比較的安く食べられるので、時々こういったアジア料理を食べて胃を休めるのもいい
大手メディアだからといって妄信はダメ!
ほぼディスりで申し訳ないのですが、某歩き方を始め、留学・海外旅行・ワーホリメディアに掲載しているチェコワーホリ記事は「いや、全然違うし」ってなるくらい、現地での現実をガン無視してます。
キラキラした記事を書くことで「チェコワーホリ行きたい!相談しよう!」って思わせようとしているのでしょうが、ぶっちゃけそういう記事を信じてチェコに来た場合、ほぼ確実に現実に叩きのめされます。
その結果どうなるかというと、「あの記事信じて来たのに嘘だった!もうあのメディア信じない」というアンチメディアではなく、「あの記事信じて来たのに嘘だった!もうチェコなんか嫌いだ!」とアンチチェコな人ができてしまうんじゃないかってことが、真剣に心配。
もうね、あの手のキラキラ記事が、すんごい遠回りなチェコネガキャンに見えて仕方ないくらい。
いや本当真面目にね、あの記事書いた人たちみんなチェコに来て1か月間住宅地滞在・現地滞在者の手助けなしで生活してみろって言いたい。
したらどれだけ英語が通じないか身に染みるから!
その上で、ぜひ簡単にあっさりと現地採用されてください。
もし本当に、自分一人で誰の力も借りずに英語オンリー・ノーチェコ語で問題なく暮らせて、かつあっさり現地採用されたって人がいるならぜひ会いたい。
どこの地域でどうすればそんなことが可能なのかまじめに知りたいので、礼金ありで取材させていただきます。
おわりに
私は別に「チェコ大好き!」ってわけではなく、チェコのいいところも悪いところも見て聞いて体験した上で「住み続けるのも悪くはない」という感覚でいるのですが、だからって住んでるところを間違った理由で嫌ってほしくなどありません。
だからこそ、むしろチェコをディスるような記事をこれまでにも書いてるし、多分これからも書いていくけれど、それは変な期待を持ってチェコに来て、期待を裏切られることでチェコを嫌ってほしくないからという一心であって、本気でディスるつもりは全くありません。
実際、留学やワーホリに過剰な期待をすることで、描いていたバラ色の滞在生活を送れなかったがために「失敗だった」とか「もうあの国嫌い」ってなるケースが少なくないと思うんですよ。
しかもそれが、実際に経験した人の話だったならともかく、現地で生活したことのない人、せいぜい数日間の観光でその国を知った気分になった人が書いた記事を信じたが故の挫折感だとしたら、本当にもったいない。
しかもそれでその国を嫌いになってしまうのは本当に残念がすぎます。
いずれにしても、実際ワーキングホリデーに来る前に、現地に住んでいる人のブログやFB投稿、Twitter記事などを見て、できればコンタクトして実際どんな感じなのか知った上で心づもりをしておくべきでしょう。
軽い気持ちで何も(特に資金)準備せずにチェコワーホリ来たら、本気で詰みますよ!